ガガガ大賞受賞作だが、「ラノベ??」となるような作品。一般にもラノベにもなりきれず、そこに消化不良を感じる人もいるかもしれない。
ただ、等身大の高校生(特に女子高生)をここまでリアルに(可愛いところもアレなところも)描ききっているのは、ある意味ラノベとしては挑戦だし、逆に、いわゆるラノベにありがちな飛び道具(記号化したキャラや特異な設定等)を殆ど消し去った上で形に仕上げているのもラノベに対する問いかけだと思う。
ガガガ文庫が目指している方向性が少し分かった気がする作品。
少なくとも、萌えキャラとイチャイチャしながらバトルする系統の、いわゆる「ラノベ」とは一線を画していると思う。
ストーリー自体は比較的平凡で、各登場人物ひとりひとりの問題を解決していく形のストーリー。
これといって大きな盛り上げやどんでん返しも無い。
ただ、人物描写は結構素敵だったと思う。
特に、主人公として描かれるドロシーについては、最初は彼氏にべっとりだったのにフられてしまい、それ以降つまらない人生を送っているつまらない女の子……と思っていた。
実際、彼氏にべっとりで恋愛=趣味のような生き方をしている女の子は居るので、そういう部分が結構エグくて「リアルだな……」と引き気味に感心した理由でもある。
しかし実際には、ダメなものはダメだと思い込んで正攻法で突っ走るところ、つまりとても「まっすぐ」なところがあり、そこは素直に好感が持てたし、可愛かったと思う。
変にませてたり斜に構えていない純粋なキャラだし、ラノベの記号的に男に媚びる部分も無かったので、途中からは凄く安心して読むことができたのも事実。
あと、カカシちゃんの途中のメンヘラぶりは、リアルを通り越して戦慄した。(ゾワッ
印象に残ったシーンは、一番最後にソラの病院のシーンでライオンが話しかけるところ。けっこう心が揺さぶられた。
ラノベとして読むと「???」となるけども、一旦ラノベであることを忘れて読めば、それなりに楽しめる作品だと思う。
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